今日は経営法務のR2第6問について解説します。
以下の会話は、X株式会社(以下「X社」という。)の取締役甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。
なお、X社は、会社法上の大会社ではなく、かつ公開会社ではない。
甲 氏:「X社は、これまで、私一人が取締役として事業を行っていましたが、今後、会社を大きくしたいので、まず手始めに取締役の人数を増やしたいと思っています。株式会社の機関設計には、いろいろな組み合わせがあると聞いて悩んでいます。どうしたらよいでしょうか。」
あなた:「取締役会を設置するかについては、どのように考えていますか。」
甲 氏:「取締役会を設置したいと考えています。」
あなた:「そうすると、X社では、取締役会を設置するということなので、[ A ]。監査役については、何か考えていますか。」
甲 氏:「まだ、どうしたらいいのか決めていません。どうすればよいですか。」
あなた:「会計参与や会計監査人を置くことは考えていますか。」
甲 氏:「いいえ。知り合いの会社でも会計参与や会計監査人は置いていないと聞きましたので、X社でも、置かないこととしたいです。」
あなた:「現在、X社の定款では、全ての株式の譲渡には株主総会の承認を必要とすると定めていますが、これを変更することは考えていますか。」
甲 氏:「取締役会を設ける予定のため、全ての株式の譲渡制限については、取締役会の承認を必要とするという定款の定めに変更しようと思っています。」
あなた:「これまでのお話をまとめると、今後、X社は、取締役会を設置する、会計参与や会計監査人は設置しない、定款で全ての株式に譲渡制限に関する定めを置くという会社にするということでよいですか。」
甲 氏:「はい、そうです。」
あなた:「そうすると、X社では、[ B ]。」
(設問 1 )
会話の中の空欄Aに入る記述として、最も適切なものはどれか。
ア 甲氏以外の取締役を選任する場合、取締役は法人でも構いません
イ 取締役の人数については、甲氏を含めて2人いればよく、 3 人までは必要ありません
ウ 取締役の人数については、甲氏を含めて3人以上必要になります
エ 取締役の人数については、甲氏を含めて4人以上必要になり、そのうち1人は社外取締役でなければなりません
(設問 2 )
会話の中の空欄Bに入る記述として、最も適切なものはどれか。
ア 監査役会を設置しない場合、定款の定めにより、監査役の権限を会計監査に関する事項に限定することができます
イ 監査役会を設置する場合には、監査役は3人以上必要ですが、社外監査役を置く必要はありません
ウ 監査役を置く代わりに、指名委員会等設置会社にして監査委員を置いたり、監査等委員会設置会社にして監査等委員を置くことができます
エ 監査役を設置しないこともできます
解説
株式会社の機関設計に関する問題です。設問1、2ともに基本的な問題ですので、ぜひ取りたい問題です。
それでは早速各設問を見ていきましょう。
(設問1)
設問1は、取締役会の人数について問われています。
取締役会の人数はまとめシートでも図入りで説明しましたが、最低3人必要です。
よって、設問1の正解は選択肢ウとなります。
(設問2)
設問2は、機関設計に関する問題です。
これも、まとめシートで紹介した図を使えば、ばっちり対応できたのではと思います。
問題文によれば、X社は、大会社でなく、公開会社ではないとのことです。
そして、取締役会を設置するが、会計参与や会計監査人は設置しないということなので、まとめシートの図を使えば、監査役もしくは監査役会を設置する必要があるということがわかります。
それでは、それを踏まえて各選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは、その通りで、監査役会を設置しない場合は、監査役を置く必要があり、定款で定めれば、監査役の権限を会計監査に関する事項に限定することができます。
念のため、残りの選択肢も見ていきましょう。
選択肢イは、監査役会の半数以上は外部監査役で構成されている必要がありますので×です。
選択肢ウは、指名委員会等設置会社の場合、必ず会計監査人を置く必要があります。しかし、問題文に寄ればX社は会計監査人は設置しないということなので、この選択肢は×と考えられます。
選択肢エは、監査役は必ず設置する必要があるため×です。
以上から、設問2の正解は選択肢アとなります。
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2件のフィードバック
設問2解説文4行目、非公開会社?
申し訳ありません「公開会社」でした。
修正しました。
ご指摘ありがとうございます。